大動脈弁置換術            戻る
      大動脈弁の位置

手術の必要性・目的
 大動脈弁狭窄大動脈弁閉鎖不全で心臓に過度な負担がかかります、心臓がその負担に耐えらくなくなると心臓機能が低下し肺にうっ血を来たして呼吸困難が現れたり動悸を感じたりする心不全や、労作時に胸が痛くなる狭心症、突然に意識がなくなる失神発作などの症状が現れるようになります。機能が低下した弁を放置すると心臓機能が次第に悪化し日常生活に支障をきたし、死亡する可能性があります。
 そこで、大動脈弁を人工弁に取替え大動脈弁の機能を回復し、心臓機能の悪化を止めて回復させる手術が必要となります。
手術の内容
 機能が悪化した大動脈弁を切り取り、人工弁(機械弁、牛や豚の生体弁)の中からウシの弁と取替える。 人工弁の耐用年数は機械弁方が20年以上、生体弁は10年から15年と少し短いが生体弁の方が機械弁に比べて血栓が出来にくい(機械弁 は血栓形成を予防する薬ワーファリンをずっと必要)。
一般的には65〜70歳より若い若年者には機械弁を用い、それより高齢者では生体を用いている。
手術の流れ
 麻酔科医師により全身麻酔を行う。心臓の手術に際しては、安定した呼吸・環境が望ましいので、比較的深い麻酔となります。
麻酔がかかってから、胸骨の上の皮膚を切開し、胸骨を縦に切って(胸骨正中切開)心臓に到達する。
心臓の弁を手術するためには、心臓を止めて心臓の一部を切開しなければなりません。心臓を止めて間、呼吸と循環を維持するためには人工心肺装置を装着して体外循環を行う。人工心肺装置を用いる時は、血液が固まらないように薬剤(ヘパリン)を用いる。心臓への出入り口としての特殊な管を挿入して、血液ポンプ・人工肺・貯血槽・フィルターなどを連ねた人工心肺回路(プラスチック製のチュウブ)に接続して、心肺停止時の呼吸・循環をまかなう。

手術の終了
 心臓の弁の取替えが終了すると、心臓を動かし人工心肺装置から離脱して装置から切り離す。その後、出血をとめて胸骨をワイヤーで固定し皮膚を縫って手術が終了する。
手術終了後は、麻酔がかかったまま、人工呼吸器による呼吸管理をされた状態で集中治療室(ICU)に移り術後管理を行う。この時点で患者が眠ったままで家族と面会でき手術の報告をうける。
 術後、12時間ほどで麻酔からゆっくり覚醒するが人工呼吸に必要なチューブは喉から抜かれていて話すことができた。
呼吸・循環が落ち着いたレベルになったら、集中治療室から一般病棟へ移る。

集中治療室へ移っても、術中に留置した心嚢、前縦隔、(場合によっては胸腔)にドレーンがある、ドレーンは術後廃液が少なくなり除去される。
ペースメーカーワイヤーも心表面に縫い付けれいる、これは術後不整脈が出たり、心停止したとき電気刺激を送って心臓のリズムを整える為に用いる、ワイヤーは術後1週間で除去される。

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