黄斑前膜症     戻る
前膜のでき方と症状
背景:
加齢による後部硝子体剥離が起きる過程で、硝子体後部の壁の一部に穴があき、ちょうど水風船が破れたときのようになって、後壁(硝子体の皮質)だけが網膜側に張り付いてしまいます。そのあと、残っている硝子体皮質を骨格にして、そこに新たな細胞が増殖してきたり眼球内のゴミのようなものが付着して、少しずつ黄斑前膜が形成されます。  黄斑前膜の約9割はこのように後部硝子体剥離のあとに起きるタイプです。残りの約1割は、後部硝子体剥離がまだ起きていない段階で、硝子体の後壁が骨格になって膜が形成されるケースです。  いずれのタイプでも、前膜の形成が進むにつれて、ゆっくりと視力が低下していきます。また、物が歪んで見えたり、大きく見えたりもします。。


手術で膜を引き剥がす
 黄斑前膜の手術では、まず最初に、後部硝子体を切除し、前膜と内境界膜を剥がします。

いつ手術をするか
 視力がかなり低下してしまってからだと、前膜を除去しても1.0には回復しません。視力が0.8前後に低下したら手術すべきでしょう。縦や横の線が波打って見えるといった、歪みの症状があるときは、視力がもっとよくても手術を勧めています。

術後の視力
 術前の視力が0.6前後なら手術から2〜3カ月で視力は正常レベルになります。術前から歪みがある場合は、視力は向上しますが、歪みはなかなかすっきりとは治りません。これが歪みがあるときには早期に手術を勧める理由です。

手術の合併症
 一番多い合併症はやはり白内障です。このため多くの場合、同時に手術してしまいます。網膜裂孔や網膜剥離については、黄斑前膜の患者さんはすでに後部硝子体剥離が起きたあとの人が多いので、頻度としてはそれほど多くありません。

再発の確率
手術が内境界膜を剥がすのが標準的治療法になってからは、ほとんど再発はなくなりました。

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